マイナスの相続財産

特に事業者・経営者の方のなかには、資産がある反面、事業を運営していくために、借金などのマイナスの財産がある方も少なくありません。プラスとなる資産を調査するだけでなく、マイナスの財産の調査も相続においては欠かせない作業なのです。万が一、マイナスの財産がプラスの資産を上回っているようなことがあれば、早めに対策を練る必要があります。

借金額を把握する方法

どこに、いくらを、借りているのか?これを調べることがマイナス財産を知ることです。一般的には金融機関から借り入れているケースがほとんどです。

銀行からの借金を調べる場合

銀行から借りた金額を知るには「全国銀行協会」の「全国銀行個人信用情報センター」という団体に問い合わせることで把握することができます。

全国銀行個人信用情報センターとは?

全国銀行個人信用情報センターは消費者信用の円滑化等を図るために、一般社団法人全国銀行協会が設置、運営している個人信用情報機関。
ホームページ:http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/

クレジットカードや消費者金融の借金を調べる場合

クレジットカードや消費者金融などの借金情報を調べる場合は『CIC』や『JICC』という利用者の信用情報機関で登録されている内容を確認することができます。

万が一、マイナスの財産がプラスの資産を上回っている場合は、相続放棄することで被相続人が残した借金を相続人が返済する義務はなくなります。ただし相続放棄するとプラスの資産も放棄することになります。

また他の方法では「限定承認」と呼ばれる方法があります。これは相続財産にマイナス分があった時、マイナス分がプラス分の財産を超えない範囲で引き継ぐことのできる相続方法です。加えて正確に借金の詳細が把握できないときにも有効で、一度、全てを相続しておき、後から計算することも可能です。居住用の住居の確保などの場合や、家業を引き継ぎ再建を目指す場合、さらに相続財産に貴重な家宝などが含まれている場合などに利用される制度ですが、相続人全員の同意が必要になります。